この記事は 「ひとりでアジャイルo0h② Advent Calendar 2021」のday-15です。 adventar.org
day-15は「LEADER's KPT」です。
どんな本
タイトルの通りKPTを扱った本で、その中でも「どうやってチームにポジティブな影響をもたらすか」「しっかりとカイゼンを根付かせるか、効果を上げるか」というリーダー目線のお話に重きをおいています。
私は未読ですが、同じ著者の別の本にこれだけ! KPT 【これだけ!シリーズ】があり、そちらを「基礎編」とするならコチラは「応用」に位置すると思います。
(とはいっても、「KPTってちゃんと説明できないかも・・」という人でも理解できそうな程度には、しっかりとフレームワークの說明も扱われています)
ふりかえりは「1回やって終わり」「ふりかえりミーティングで完結するもの」ではなく、寧ろ「ミーティングが終わった後に、具体的なアクションが行われるか。チームがどんな効果を得るか」の方が重要で、本書はその辺りもしっかりと強調されて書かれているなぁという印象です。
もっといえば、「ふりかえること」ではなく「チームがしっかりと進化し続けること、その文化を作ること」こそが本質的に目指すべき地平だとも感じるのですが、 正にこの本のテーマは「(KPTを用いて)自律的に動き成果を上げるチームを作る」なのです。
お気に入りポイントかいつまみ
改めて「KPT」の基本的な流れをおさらいできた
自分がKPTと初めて出会ったのは、過去に属していた会社で一緒に働いていた人が持ち込んできた時でした。
それが「原型」となっており、考えてみたらそんなにしっかりと「ルールの說明」をインプットしたことがないかも?という気もします。
もちろん、レトロスペクティブを扱った本ではshort stories/KPTに関して言及しているものは非常に多いので、その点でいえば流れは抑えています。その上で、やはり「もともとの体験していたこと」以上の知識のアップデートはあまりなかったかな?という気も。
改めて「KPTがメインの本」を読んでみると、色々な部分でなるほどなぁと思わされました。
とりわけ、ファシリテーションに関する指南がいくつか挙げられているのは注目すべき点かと思います。
「意見の整理、フィルタリングの方法」や「なかなか意見が出ない時はどうすればいいか?」など。
また、継続的・反復的に行われる事を前提とした、「前回のTryをどうするか」について触れている点も頼りになります。
うまくいっていないKPT
ふりかえりのファシリテーションをやっていると、「本当に効果があるのか?」という疑問や「もっと良い議論が出来るはずなのに」とモヤモヤする場面も少なくないと思います。
個人的に、この本の中で最も気に入ったのが「うまくいっていないKPT」についての解説が行われていた点です。
たとえば「トライありきのプロブレム」だったり、「言ったもの負けになっている(誰か1人がby-nameで取り組むことを前提としてしまっていて、チームのトライになっていない)」など。それらへの目の向け方が書かれているのはとても参考になります。
また、KPTで出たカードから「状態を測定する」という試みもなされています。
たとえば「キープとトライの割合」「全体に対して実施するトライの割合」「完了されたトライの割合、消化率」のような具体的なメトリクスを用意して、「良いKPT」だったり「どんな問題を抱えているのか」を示してみよう、というものです。
こうした観点も柔軟に取り入れながら、うまい感じにふりかりを回し続けていきたいものです。
まとめ
KPTの本でありつつ、それだけに留まらない「チーム作りを行うリーダーのための本」といった印象です。
平易な文章とコンパクトな分量でサクッと読みやすいのですが、時折パラパラと開き直しては復習にも使っています。
「とりあえチームでふりかえりはやっているんだけど。定期的に時間は取っているよ」という人に対して、更に踏み込んで「どういう効果を上げさせていくか」を考えるためのヒントとしてオススメ出来る1冊だと思います。