「 アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方―――一人ひとりの能力を100%高めるマネジメント術」

この記事は 「ひとりでアジャイルo0h① Advent Calendar 2021」のday-8です。 adventar.org

day-8は「アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方―――一人ひとりの能力を100%高めるマネジメント術」です。

どんな本

タイトルからしても、これが何で「スクラムとかの本のアドベントカレンダー」に入っているのか・・?という感じかもしれませんが。
「自己管理型チーム」そして「どのように実現するか」について書かれた本、としてココに置いています。
リーダーシップ論的な内容になりますが、チームを理想状態に連れて行くミッションを持っているスクラムマスターにとっては非常に深く関係する話だと思います。

CAL-1の研修でも事例として紹介された内容でした。 (確か認定スクラムマスター研修を受けた際にも紹介された、という気がしていたのですが・・記録が確認できなかったので不確か)

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本書の内容は、研究や理論に裏打ちされた話をベースに、事例を紹介していく!!
という方向性のものではなくて、あくまでデビッド・マルケ氏の行ってきたことを紹介するという内容です。
そのため、ある意味では「成功者の自慢話」という属性もあると思います。眉唾に思えるかも知れません。
しかしながら、そこにあるのは確実に具体的なアクションであり、読者はリアルな印象を受けながら読み進めていくような体験になると思います。

いかに部下にとっての安全性を育むか、その安全性をしっかり活かせるように「自分の頭で考える・判断する」ように仕向けるか、失敗への向き合い方、自己効力感を高めたり、「全体を見る」ことの重要性と効果を現場に根付かせるか・・・などなど、理想的な組織像・リーダー像が描かれています。

お気に入りポイントかいつまみ

「綺麗事」で終わらせない「変革」の生み出し方

1冊を通じて、随所に「ただの理論・理想で終わらせずに、徹底的にそこへ向かうリーダーシップ」が描かれています。 そして、その態度は徹底して自責的です。

心に残った箇所をいくつか挙げると、

"真のリーダーシップとは、「教訓」ではなく、「実例」によって示されなければならないのだ。"

マイケル・アブラショフ. アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方一人ひとりの能力を100%高めるマネジメント術 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.366-367). Kindle 版.

人は言葉を喋りますが、心からの理解を生むのは難しいものです。
「実例」というのは、考える人にとって最も説得力を持つ形なんだと思います。

"私自身は、自分が思うような結果を部下たちから得られなかったときには、怒りをこらえて内省し、自分がその問題の一部になってはいなかったかどうか考えた。自分自身に次の三つの質問を投げかけたのである。
①目標を明確に示したか?
②その任務を達成するために、十分な時間と資金や材料を部下に与えたか?
③部下に十分な訓練をさせたか?"

マイケル・アブラショフ. アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方一人ひとりの能力を100%高めるマネジメント術 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.379-384). Kindle 版.

これも中々に胸に刺さる言葉・・・
ただ、「どうして動かないんだ、あちらにどんな原因があるんだ」と考えるより「自分がもっと出来ることがあるだろうか?」と捉えるのはヘルシーなことだと思っています。
(そういう考えに至ったのは、本当にココ数年ですが。。)

とりわけ「目標を明確にしたか」というのは、最近しばしば考えることもあったので、改めて大事にしたいなぁと思わされました。

自信は伝染する。うぬぼれだろうが見えすいた言葉だろうが、大きな成果がある。実際にはまだいちばん優秀と認められていたわけでなかったが、われわれは確実にその〝ゴール〟へと向かっていた。

マイケル・アブラショフ. アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方一人ひとりの能力を100%高めるマネジメント術 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.593-595). Kindle 版.

これは、「他の艦隊に向けて、自分たちの船を”最も優れた艦”と称した」というくだりの後に繋がっています。
「言葉一つで揺るぎない信頼を築く」として語られており、そうした「隅々での配慮・振る舞い」が大きな自信につながるんだなと考えると。
力強く前に進む際に、個人であれ集団であれ、自信は非常に重要なものだと思います。その「自信をどう作るか」みたいなヒントは、いくらでも引き出しに入れておきたいものです。

まとめ

とにかく「心から部下を信じる」ということを徹底的にやっている、というのが本書の物語への感想です。
ただし、それは「先天的な楽観主義」や「ある種の悟り」によるものなのではないと思います。
自身の経験も踏まえて、その「他人を信じる、他人の存在に尊敬の念を向ける」というのをやろう!!という意志と努力、信念や忍耐を感じました。

まず「読んでいて元気をもらえる本」であったし、その上で心に刻みたい文章がいくつも散りばめられていました。
また折に触れて手にとってみたいな、と思います。その時々でまた新しい発見がありそう