「ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント」

この記事は 「ひとりでアジャイルo0h② Advent Calendar 2021」のday-23です。 adventar.org

day-23は「ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント」です。

どんな本

元気の出る良い本ですね!!
とてもざっくり言えば「XPを取り入れて、本当に大事なもの”喜び”に基づいた組織づくりをする」という感じでしょうか。

個人的には、XPやアジャイルが本当に目指しているのはこういう事なんだろうなぁ・・と思います。
ビジネス的にも、という面はもちろんあると思いますが。それ以上に、「開発者が本来的なやりがい・働き方を取り戻す」「イキイキとしたソフトウェア開発」として、みたいな。 完璧な計画を立てて、そこから寸分も違わぬように1人1人が行動をするように求められる・・という従来的な科学的管理手法や「機械のパーツのような」ソフトウェア開発よりも、1人1人が持てる力や創造性を発揮しながらお互いに助け合ってダイナミックに目的に向かっていく、というような「アジャイル」です。

お気に入りポイントかいつまみ

単なる「働きやすさ」に留まらず「価値のある仕事」をすることを喜ぶ

もちろん「退屈な働き方なんてやめて、苦しさよりも楽しさを持って開発しようぜ!!」的な話でもあるのですが。
それ以上に、印象的だなぁと思ったのは「自分たちの楽しさ」だけでなく「社会、顧客にとって喜んでもらえるもの」をとても大事にしている点でした。

誰でもすぐ当たり前だと気づくように、喜びに満ちたチームのほうがよい成果を出す。それに僕たちの喜びは内部だけに閉じない。僕たちのねらいはここでの仕事が世界に出て行き、広く普及し、期待どおりの人びとが喜んで使ってくれるところにある。喜びに満ちた会社が大事に考えるのは、自分たちがいかに世界を変えるかだ。外部にそうした喜びをもたらし続けられるのは、内部にも喜びがあってこそだ。

リチャード・シェリダン. ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント (Japanese Edition) (Kindle の位置No.333-337). Kindle 版.

という文章や、

メンローでの喜びの根幹にあるものは、僕たちが作ったソフトウェアを人が使ってくれ、うれしい体験だと感じてくれることだ。

リチャード・シェリダン. ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1868-1869). Kindle 版.

などは、素直に「良いな、憧れるな」と思えるものです。

ともすれば「開発者にとっての楽しい働き方」という側面だけを強調すれば、自己本位的で排他的なやり方になってしまうかも知れません。
「本当に良いもの」は「お互いにとって良いもの」とでもいうような、美麗辞句ではない本質的な「意味のあるもの」としても”喜び”を感じました。

アジャイルの話だけどアジャイルの話ではない

いわゆる「アジャイルの本」だったり「アジャイル開発を取り入れて組織を改革するには」みたいな話とは違って、最も本書を際立たせている特徴だとも思うのですが、「アジャイルとは何か」「それを目指してどう動くか」ということが話の軸になってはいません。

「どういうのが価値のある仕事で、プロダクト開発を通じて社会にも従業員にも良い体験をもたらすか」という課題に本気で取り組んだ結果、XPとであって・・・といった話になっています。
「XPを知って、探し求めていたものを見つけた」という話でもあると思いますが、だからといって「XPを目指して組織を作った」という方向性にはなっていないように感じます。寧ろ、自ら到達した「喜び」という価値観が最も太くて中心的な軸になっています。

(なんて事を言いつつも、ペアプロを初めとしたXPを取り入れてみて見事に手応えを感じたり、それが仲間たちにも認められて受け入れられていく様子は少し鳥肌が立つくらい興奮しましたが。)

「ビジョンが鍵」という言葉は強く響いてくるものがありますね。

「ど真ん中に『アジャイル』を置いていないが、ソーシャルチェンジについて描き出した本」だと思いました。

まとめ

ワクワク感のある、楽しい気持ちになる本だな〜と思います。
これをみて、「さて自分はどうやって働きたいかな」とも考えたくなるかも知れません。

インターネット上でアクセスできる文献にも、本書の雰囲気をよく感じられるものがいくつもあります。
これらの記事・資料を読んでみると、より楽しめそうです。

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