「Software in 30 Days スクラムによるアジャイルな組織変革"成功"ガイド」

この記事は 「ひとりでアジャイルo0h① Advent Calendar 2021」のday-20です。 adventar.org

day-20は「Software in 30 Days スクラムによるアジャイルな組織変革"成功"ガイド」です。

どんな本

スクラムの生みの親である二名による、「ソフトウェアを開発”しない”人に向けて書いた」、なぜスクラムが成果を上げるのか?を説明した本です。
すなわちシニアな管理者や経営者向けの本ですね。これまでに自分が読んだ本だと、アジャイル開発とスクラム スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術辺りと対象読者が近いのかなぁ。

これまでの開発プロセスから脱却すべき理由や、スクラムの原理についての説明、そしてプロジェクトレベルでのスクラムの動き方から複数チーム、組織レベルでの変革について取り扱っています。
「現場レベルでのコツ、ガイドライン」みたいな話はスコープ外ですが、「ビジネスに対してどう有効なのか」を集中的に記述しています。

お気に入りポイントかいつまみ

ビジネスサイドや管理側から見たスクラム

スクラムについて「実際にやる側としてどう頑張るか」という本はとても多く、役立つものだと思います。が、「そうじゃない人向け」の説明が多くあるのはそんなに多くないかも知れません。自分の見ている範囲が狭いだけな気もするけども。

概要レベルで「スクラムチームは何をしているのか(どういう風に動いているのか)」と、「どうやったら良い・悪いを判断できるのか」をチームの外から知るのには大きな価値があると思います。
そうした話こそ、本書に書かれていることです。

第1部では「経験主義」に主に焦点を当てながら、自己組織化や透明性についても紹介されていました。
この辺りを押さえながら、スクラムでよく使われるメトリクス = ベロシティだったりPBIの数だったり、を知ることでコミュニケーションに役立てていけるはずです。

目のさめるような事例

スクラムをやってどうなったか」という話が実在の企業のエピソードとして所々で紹介されています。
顧客満足度の改善、技術的負債の減少、進捗の透明化と従業員の活性化、etc・・・

中には「Adobe CSの開発にスクラムを導入したら品質が上がった」といった、「あのプロダクトの裏にもそんな話が・・・」という(内容以上に?)ワクワクするものも含まれています。

まとめ

本書が組織内でのレイヤーの高い人に向けて書かれていることもあり、大きな話も扱われています。
スクラムとは」から始まり、導入の拡大、そして「企業の変革」へと話が展開されました。副題にもある通り「組織変革”成功”ガイド」というのが、やはり最終的に目指している地平だと思います。
スクラムを始めてみましょう!」といった本に比べれば、なかなか息の長い話になっていきそうです。実践していって、その「ゴール」にたどり着く・・というには時間がかかりすぎてじれったさもありそうです。
ボリューム自体はそんなに多くない本ですが、今の自分達がどこにいるのか?を分析して比較しながら、タイミングに合わせて必要な所を読んで見るというのも良いかも知れません。