「スクラム実践入門 ── 成果を生み出すアジャイルな開発プロセス」

この記事は 「ひとりでアジャイルo0h① Advent Calendar 2021」のday-19です。 adventar.org

day-19は「スクラム実践入門 ── 成果を生み出すアジャイル開発プロセス」です。

どんな本

スクラムの入門的な本で、内容としてはスクラムガイドにある内容の解説 + "how"の部分の肉付け、という感じでしょうか。
レベル感としては「スクラムの基礎的な学習はした、チームで使い始めた(検討している)」くらいの位置かな?と思います。
対象としては、スクラムマスター、スクラムチームのメンバー(PO+開発者)、組織にスクラ導入を考えているマネージャーとかそういう感じが。

ただし、これ1冊で「しっかりと型が身につく」というほど指導的な内容ではなく、どちらかというと「学習した内容を復習しよう」〜「より”現場的”な話や事例に触れてみよう」な印象です。

網羅している範囲としては「スクラムの基礎的な知識」と「スクラムと組み合わせて(=スクラムガイドには載っていない)使いやすいプラクティス」「実際に導入した企業でのチーム事例」「よくある問題と対応」のパートに分かれます。

特徴的なのは、日本国内のWeb企業に務める方々の執筆であり、事例についても「GMOペパボ」「mixi」「DeNA」と馴染み深い企業が並びます。
(自分が手にとった本が偏っているのもありますが)今まで、スクラムアジャイルについての書籍は翻訳本が多かったので、新鮮さを感じました。

お気に入りポイントかいつまみ

色々な現場の導入・運用事例の話はおもしろい

カンファレンスでの発表や雑誌記事などでも多く見られますが、やはり「導入してみた」「そのきっかけは」「難しかった所、上手く行かなかった所、工夫した所」というエピソードは読んでいておもしろいですよね。

とりわけ、本書は「どう導入するか」にやや力点が置かれているような印象があり、実際に事例3つのうち2つは副題に「導入」という単語が入っており、複数の章に分けて取り扱われている「よくある問題」のうち1章は「スクラム導入時によくある問題と解決策」です。

従来型の開発管理からアジャイル/スクラムへの移行には、とても「未知の壁」が多く立ちはだかります。
実践の当事者である著者たちが「こういうので困ったんだよね・・」という感覚が、良い意味で透けて見えるようでした。

自然な日本語で文量もコンパクト

執筆陣は日本国内で働く現役のメンバーであり、出版も2015年(第1版)・2019年(第2版)と比較的最近の本であることから、文章が読みやすいような気がします。
個人的には、「翻訳本は文体が読みにくい・頭に入ってきにくい」といった抵抗感はあまりないのですが、周りの人からはそういう声もチラホラと聞くことがあるので、本を読む上での1つの障害になったりするのかな?とも思います。で、この本についてはその懸念はなさそうだ、と。

また、文量も図表や見出しの装飾も十分にある上での200ページ強と、テーマの広さからいえばコンパクトに纏まっていると思います。
「WEB +DB PRESS Plusシリーズ」に対する信頼感もある─

これらの要素が揃うと、手に取りやすい・他の人にも薦めやすいものになっていくなぁと感じました。

まとめ

タイトル通り「実践入門」としての位置づけを目指した本だったな、という印象です。

内容の目新しさはあるか・新しく得られた知識があるか?というと・・・
例えば「エッセンシャル・スクラム」「スクラム現場ガイド」「アジャイルサムライ」「アジャイルな見積りと計画づくり」辺りを読了済みであれば、すでに十分に抑えられているかもなぁとは正直に思いました。それに、そうした方が深さも増すし実践しやすくなると思います。

・・・が、それって一体トータル何頁分を読むことになるんだ??という話があり。
あくまで「(実践)入門」として、次の学びに繋げやすいし「とりあえず現場でやってみるか!」となりやすい本である所に意義があると感じます。
(そういう意味では、参考書籍のリストとかあればメッチャ良かったなぁ)

重くなくて接しやすい1冊と言えるのではないでしょうか〜