紅白ぺぱ合戦 - connpass (もしくは 紅白ぺぱ合戦の全貌(本編・懇親会・ナドナド) #cohackpp - #あすみかんの上にあすみかん)というイベントが、1ヵ月前にありました。
今年全体を通じて数多く参加した技術イベントやコミュニティの活動の中でも*1、トップに食い込むであろう大きな印象を残した出来事でした。
参加した時の想い出記事はコチラに daisuki.nichiyoubi.land
で、記事中に
今回のトークは、準備と資料作成中に自分としても色々と気付いたことや感じたことが多くあったので、その話もちゃんと言語化したいなーと思っています。 本当はこのエントリーで・・というつもりだったので、先のnoteでも触れられた事も受けて、後で別記事で掘り下げたいなと。
と記しています。
自分にとっても色々な事を考える有り難い機会になったので、それを改めて感じ直してみたくなったのです。
#cohackpp での発表、そのための準備の時間で「自分がやってきたマネジメント」について向き合ってみる機会になったと感じます。
今回の記事は、そこを中心に書くもの。なのでタイトルも「発表を 通じて得たものを ふりかえろ」です。
特殊な場、特別な発表
2024は本当に多くの外部発表の機会をいただくことができましたが・・その中でも、#cohackppでの登壇は「産みの苦しみ」が大きかったなと感じます。
(だからこそ”やりきった”のは嬉しい)
どうしたものかね〜〜
色々な要因がありますが
- ある程度の規模で、先に「枠」があって後からテーマを決めて話す〜というのが初めて
- 公募選考を経ていないので、何を話すかがある意味「自分の責任」が大きい。客観的に価値が担保されていない
- 半分(?)は、自分にとっての「おなじみ」のコミュニティやメンツではない
- 参加者リストを見ると凄い名前が並んでいる
- 良い場にしたい、そこに自分も華を添えたい!!
- 成功させたい!!!
今こうして書き出してみると、最初のは「考えて何か決めればどうにかなる」・2つ目は「どうにもならないけど真摯にやったら恐らく許してはくれるだろう」って気もしますね。
となると、1番のプレッシャーであり焚きつけるエネルゲンとして動いていたのは3つ目の「絶対に良い場になってほしいな、その輪の中に自分もニコニコと混ざっていたいな」「期待してくれたものを全うしたいな、”良かった”って絶対に言わせたい!!」って所だったのかも知れません。
それと併せて、内容やテーマを考える上でも「チャレンジングだな」と感じられた面があり。
- 「どんな話が良いのかな〜」って思うと、”マネジメント”っぽい話とか(「育てた」枠にハマるような内容にしたかったので)、"エモ"系になりそう
- やったことないタイプ〜〜〜
- 別にそういう縛りを言い渡されたわけではない・・寧ろ最初の頃(8末くらい)に雑にテーマ当てたら「ワンチャンめっちゃ技術な方向になる可能性あるかも」とも言われてた
- learning outcomeを考えて設計されるような内容がいいのかな、"身内"としての話が良いのかな?
- 一般化したような話でも消化不良になりそうだしなぁ、かといって「内輪話過ぎて参加者の大半が楽しめない」ようなのは主催者が望まないだろうなぁ。
- 自分の部下だった人の行動原理みたいなのを考えると、「俺が全力で楽しむつもりだが、参加者全員に”最高”って言わせないと成功はない!!」とか思ってそうなんだよな
なんて話があります。
いちおう #phpcondoではタイトルに「EM」を含めた発表をさせてもらっていますが、基本的にマネジメントなカラーの話(をメインに据えた)で登壇って未経験なのですよね。というか、他のところで「マネジメント」「組織デザイン」「ソフトスキル」的なテーマにしてプロポーザルは全部通っていない。
なので、この辺で行くなら控えめに言っても「話しなれていないな」「第3者からの反響を貰った事が無いな」になります。
エモ〜〜についても、phpcon_kansai 2024とかphpcon 2022は、自分の中ではかなり感情を乗せたお話だと思っていますが、「そういう狙いありきでやった」のではなく。
(と書いてて思ったけど、別に世の中で技術カンファレンスの「エモい」と言われる発表も、別に「エモさ」に振って作っていない気もするな・・結果的に「感情や魂が乗った、心が動くような内容や発表様式になる」だけで。)
「エッセイのように、自分の内情を吐露するような様態のトーク」をしたことがない、の方が正確かも。要するに、そういう事をしたことがない。
例えば あの日ハッカーに憧れた自分が、「ハッカーの呪縛」から解き放たれるまでとかカンファレンスのあちら側とこちら側 は凄く好きで何度も見ているのですが*2、こうした発信に触れた時の自分の視聴体験は「元気をもらえる・勇気づけられる」っていう要素があって*3。じゃあ自分もそんな風な発信ができるか・・・?というと、勝ち筋が見えてないな〜〜〜思う訳です。
方針固める期
「ここ数年でメキメキと存在感や活動量を増していったすげー勢いのある若者について」な話が主たる材料になるだろう、というのは最初から変わってないのですが。これをどう料理するんだろう?という点で、何度か変遷を辿った気がします。
初期は割と「ノウハウやtipsをしっかりと形にする」みたいな感じとか「はてブが付きそうな感じ」とかってっ方向性を見つめながら、形にしようとしていました。
前述の通り「マネジメントっぽい話を一席ぶってみたい、でも出来ていない(うちにEMを退いてからの期間という意味で、賞味期限が来てしまった)」状態があった中で、「そういう話も許されそうな気がするな??」という状況が嬉しかったのですね。そういうのやってみたかったんだよねーと。あとは、phpconfuk.2023でZoeさんの発表「良いプロダクト作りのための組織育成 健全なコードは健全な組織、健全なチームから」が凄く面白くかっこよかったので、そういう憧れもあり。
ただ、そうやって進めていくと(確かに自分の経験の棚卸しにはなりつつ)、なかなか筆が乗らん・・!面白がってもらえる、「今回の場にこの発表があってよかった」というイメージが沸かないな〜〜〜〜〜って感じでした。
なので、向き合ったんですよね〜〜〜〜〜〜。
考えてみると、「CfP通してタイムテーブルが告示されて自分で好きな発表を聴きに来ている人」という場ではないし、技術やロール等で縛られて「何かを学びに来ている人」でもない。
自分含めて「そこにいる人達は、何で参加するんだっけ?」と言うと、「面白がれると良いなー」とか「お祝いしたいなー」だから、そこにフィットするような形がいいか〜
となると、「まぁ究極的には会の主役の1名にだけ刺せれば良いんだな」という事に気づいて、腑に落ちたのでした*4。
ココら辺からは面白かったですねー。
別に「喜びそうなことを言おう」と言葉を選んだり、諂ったりは全くなくて。電報なんかを送ろうって訳じゃないですからね。
で、「一般参加者の役に立つように」から「N=1に刺さればいっか」の変遷を経たことで、より深い角度で「自分とも向き合う」ことの重要性に気付きます。お行儀の良い話だけをして逃げ切るわけにも行かなくなったので。
自分が一緒に働いてきた中で「大事にしていたもの」「提供したかった・できてんじゃなかろうかと思えるもの」を見つめ直すのが凄く重要だぞ、と。
どちらかといえば「声をかけてもらって、面白そうな機会を頂いた立場から、何かコンテンツを用意しないと」で取り組み始めたものだったのが、段々と「自分の行ってきたことをふりかえって、何があったかを改めて見つめ直してみる」にもなったんですね。
「自分がマネジメントの時期を通して何を得られたのか」「自分のスタイルみたいなものは、どんな形をしていたのか」「何故それができたのか、その中心軸となるエンジンみたいなものはあったのか」etc.、少し視野を広げたような事も考えてみるか〜なんて所まで、今回の「発表準備」に含まれました。
定期的に受けている有償のコーチングセッションでも、こうしたテーマを扱って「自分がマネージャーとして大事にしていたことは何だったのか?」を深堀ってもみました。
しっかりとお金を払って契約しているものなので、ちゃんと「その時に話したい・重要性があること」を話題に選んでいるんですけど。そこに組み込まれた形に。
そのくらい、「コンテンツを用意すること」に留めず「自分にとっての体験と価値」について改めて考えようという機会として、取り組む価値のある&内在化されていったテーマだったなぁと感じます。
発表の準備としては進みつつも「どうしても中核的なメッセージと言うか背骨みたいなものが中々しっくり来ない!!」という状況が続いていた中で、セッションを通じて整理されていったのは良かったです。
これを契機に、
- 外から与えられるものよりも、そもそも備わっていた性質に目を向けること
- 自分がマネジメントとして動けたのも、自身の性質を武器としていて使えていたからだった
- マネジメントには正解がない、だからこそ根底に「自分が大事にしたいもの・すべきもの」を携えて向き合っていきたい
というコアが発掘できました。
発表準備期
怪しいセミナーが始まってしまい、大変困惑している
— パウリ (@pauli_agile) 2024年11月30日
#cohackpp
そんな感じで「公で扱ったことがないテーマや発表経緯」だったり、「特定の個人1名を存分に話題にして良い」だったり、色々と特別な場を楽しみ尽くしたいぞ〜〜!という発表の準備。
スライドに工夫をしたのは参加記にも書いた通り。
スライドマスタが違うだけでも「いつもと何か違うな〜〜!」感があり面白かったです。気分転換に良いかも知れない。
やりたい方向性は決まった、発表をして「こういう結果になればいいや」というビジョンも決まった、中核に据えるメッセージも決まった、拘って遊ぶ要素も決まった───
って中で、最後まで足掻いた部分が「どうやって締めくくるか」でした。
・・・が、「今回のターゲットはたった1名で良い」と括った腹で何度もasumikam.com を読み返している内に、本人のブログエントリーから「これでハマりそうだな」という要素を発掘できて嬉しくなりました。
個性を伸ばしつつ新しい世界を見せる、そんなマネジメントで私は伸びた - #あすみかんの上にあすみかん
コレだったら凄く綺麗に話をまとめられそうだし、本題として色々と盛り込んでも耐えうるような「強度」を備えられそうだぞ・・・!と。 先に固めた発表タイトルともちゃんとマッチする。
この段階まで来て、発表に対して「自信ないなー」と「楽しませられそうだな、楽しみだな」の比率が逆転した感じに。
あとは発表に向けて準備準備準備。
事前の通し練習回数、今年で1番多い気がする
— 今日も誰かのにちようび(おいしい鮭親子丼) (@o0h_) 2024年11月30日
今回、自分が得たものは何だったのか
という感じで、すごく大事なふりかえりの機会となった訳です。
より内面的なことを言えば、2023年までの「マネージャーとしての自分」をどっかで "wrap up" したいな・・・という感じをズルズルと引きずってきた1年弱に、大きな進展をもたらしてくれのでした。*5
マネージャーをやってみて、「楽しかったな」「力を出せたんじゃないかな」と感じられた部分もあり。今回の登壇は、じゃあ何故そうなったのか?を見つめ直す機会になったなぁと思います。
当初から自覚していた・意識していたこと
この「ふりかえり」の前から見えていた部分。
自分のスタンスとして「弱みを埋めさせるよりも、興味があることやうまく出来ることを武器にしてもらおう」は元々の考えとしてありました。
在籍当時に会社のブログでも「出る杭は伸ばすし、全員に同じやり方を強いなくて良い」と表明しています。
これは、「自分がそっちの方が好きだし」性質なのと、コーチングのトレーニングを受けて「ジャッジをしない」「クライエントの力を信じる」スタンスが心地よいものだなぁと痛く気に入ってしまった背景からですね。
現実問題として「技術レベルその他もろもろを、全員がすべての要素で平均点を取れるようにする」のを目指して組織づくりをしていると何年掛かるんだ・・?を思うと頭が痛いし、それをしたところで「平均くらいのものが作れたら良いね」くらいの着地にしかならなそうだなーってイメージが強かったので。
あとは、「EM未経験の自分に出来ることは少なそう、王道や正解を知らない」「だったら使えるものを活かそう」というのも当初から思っていたこと。
この期間に気付いた・見つけたこと
発表準備期間の思索やら会話やらを経て思ったこと。
先に書いた「俺は良い感じのマネジメントとか知らないぜ、だから自分なりの道を歩むぜ!!!」的なスタンスは、ある意味「追い込まれた挙げ句の苦し紛れ」「開き直り」みたいなものだなーって感覚でいたのですけれど。
(悲観していた訳では無いにせよ)
これが、今回の準備中に・・特にコーチングセッションで深掘ってもらったのを経て、見方が変わりました。
- 「のびのびとやってほしいな(その方が伸びるから)」と思っているのは何でだろう?という話になり
- まぁ「自分があーだこーだ言われるのが苦手だし」というのは、表面化して見えていた部分で
- 成長を感じたり本人が喜びを得ているのを見て「良いな」って思えた場面があり、その経験がこの思考を加速させてもいそう
- 更に掘り下げていくなかで、他者(部下)に対して結構「ちゃんと伸びてほしい」という願望寄りの感情を自分が持っているんだなーということが気になってきて
- 「願望」なので、これは恐らく自分のエゴに直結していそう
- 「自分の居る場所を誇れるものにしたい、良いものにしたい、ダサい事をしたりさせられたくない」的な面が影響をもたらしている気もする
- そのためには周りにも力をつけて欲しい
- (これは、言ってみればSongmuさんのトークであった部分に通ずるものがある。部下や後進が、自身のライバルとして隣に立ってくるくらいがいい
- あと「自分がそんなに大したものじゃないし」「なのに”決定打”的な存在になっているのはまずい」っていう悲観もある
- ・・・で、その手段が「周りに”のびのびとやらせる”なんだ?」
- 絶対そこに何か眠ってるじゃん、なんだろーね
- 「のびる」とか「バリューを出す」みたいなところに着目すると、「好きなことを自由にやらせてもらっている時にパフォーマンスが上がりやすい・・というのは、自分自身の中にある経験なのではないか」という事に気づいた
- プラス、「お墨付き」がほしい。組織や環境からの肯定
- ってことは、なるほど、自分が「周りに提供しようとしているもの」は「自分が過去に誰かから受け取ってきたもの」なんだな・・・・
と、物凄く腑に落ちた気がしたのです。
ここから、
- 「個性は自然と発揮される、自然でいられる時に力が発揮されやすい」「抑え付けても溢れ出てきてしまう、土壌を整えてあげればより強く発揮されてくる」
- 「気づかない内に人から受け取っているものって大きくて、それを自分がまた他人に施している」「連綿と続くものに活かされている」
といった事を発見できました。
ある意味「ゼロから生まれたものではない」という感じ。もしかしたらこれは悲しい気もするのですが・・・自分としては、あまりそのようには思っておらず。どちらかといえば、してきたこと・できたことについてが「偶然できたこと」「突発的に身についたもの」ではなく「確かに必然性があって生まれ得たもの」になったように、嬉しく感じています。
クリフトンストレングスの分析を受けた時に原点思考が強めに出るような性質なのですが、つくづくこういう「納得感がある」のに安心感を覚えるんだなぁ・・・とも思ったり。
「この先ふとした時に立ち返れる原点を」と思って取り組んだ中で、自分自身が「根底に何があったか」に出会う経験を出来たのは、良い物語と言えそうだなと感じます。
もうちょいメタっぽいことを言うと、
- 自分が抱えているもの・根底に据えているものにちゃんとアンテナを張る、内省的であること
- 自分を取り巻く環境や関係が、どういう風に影響を与えているかに目を向けてみること
が体現できると、自分を救ってくれる力になりそうだ・・とも思ったり。
今回の自分の話で言えば、たぶん「やってもらって嬉しかったことを、また周りに与えようとしているのかもしれない」という点。これにもっと早く気付いていたら、何かが楽になったり、あるいはもっと力を発揮できたのかもしれないな〜って気もします。
おわりに
やはり「生みの苦しみ」って点では2024で1番存在感のある発表になった気がw
ただ、何周もぐるぐると考えたことで、自分の中での手応えみたいなものも大きかったな〜とも思えた発表でした。
楽しいイベントだったな〜〜〜本当に心から「良い機会をもらった」と思っています、誇らしいですね、ありがとうございました!
*1:技術なのか?コミュニティなのか?が不思議な感じですが、蓋を開けてみたら間違いなく技術コミュニティイベントだったので問題ないでしょう
*2:偶然なのか必然なのか、どちらの発表者も同じ会場に居たのは凄いことですよね
*3:とは言え、「感動的な作品を作ろう」ていう下心とか胡散臭さがなくて、実直な「コレを届けたい」というメッセージ性があるからこそ、見ていて心が現れるんだろうな〜という気もします
*4:同じ役割を任された後輩係の人も同じ境地に至っている図 https://x.com/o0h_/status/1874068327393542364
*5:もうちょっとだけ続くんじゃ、と感じている面もある。それはユルユルと付き合っていこうかなー