「SCRUM BOOT CAMP THE BOOK」

この記事は 「ひとりでアジャイルo0h① Advent Calendar 2021」のday-2です。 adventar.org

day-2は「SCRUM BOOT CAMP THE BOOK」です。

どんな本

スクラムってどんな感じなんだろう?」を、簡潔にまとめた「基礎編」とストーリー仕立てでスクラムを適用していく「実践編」の構成で扱う本です。
恐らく、「日本語で読めるスクラムの入門書」としては決定版と言える1冊ではないでしょうか。

文書が平易なのと挿絵も可愛らしく、徹底的に読みやすさ・伝わりやすさに骨を砕いている様子が感じ取れます。
(そして”間違いない”執筆陣・・・)

フレームワークとしてのスクラムはシンプルだ、しかし実践は難しい」というのをそのまま表すかのように、「短い基礎編と、大半を占める実践編」のようなバランスになっています。すなわち、「決まり事や定義を説明する」ことよりも「読者に追体験をさせるかのような伝え方」に重きが置かれているような印象です。

お気に入りポイントかいつまみ

ポイントが頭に入ってきやすい構成

実践編は、架空の会社でスクラムを実践していくストーリーに沿って展開されます。
各章の冒頭には短い漫画があり、主人公の「ボクくん」のお悩みに答えるかのような解説がテンポよく入ってくる、という構成です。(その中では、スクラムマスターの遭遇しやすい「板挟み」な状況・・ステークホルダーやチームに対してどんなコミュニケーションをとっていくか?もまざまざと描かれます)

また、インセプションデッキやカンバン、ユーザーストーリーによるバックログアイテムの記述などの「スクラムと相性のいいプラクティス」についてもサンプルを示しながら解説しています。

という感じで、全体的に「どこが重要なのか」が頭に入って着やすい、初学者に対してもついていきやすいような工夫がなされているな〜と感じました

基礎→実践、という抑え方

スクラムの入門書の中には、「最初から最後までストーリー仕立てで、1つずつ(ゼロベースで)問題とそれに対するスクラムの提供をインクリメンタルに進めていく」という構成もあると思います。
それでも勿論面白いのですが、個人的にはSCRUM BOOT CAMP THE BOOKの「最初に簡潔に基礎・概念を頭に入れてから」というスタイルは、読み手に基準点を与えるような働きをもたらしてい親切だな〜と感じました。もちろん、それが「最初の部分を読むのに苦労するくらいの分量だぞ・・・」となれば頭が痛いのですが、「まぁ今はわからないかと思うけど、いちおう世界観を紹介しておくね!!」くらいな手短さ・簡潔さなのが素敵なのです。

実践編を読んだ後に基礎編を読むと、見事に「今理解した内容のリマインダー」としても機能するものだと思います。

実感の持てる、漸進的なストーリー

先にも述べたように、本書の話は「ボクくんが困った時に、どういう風に(スクラムで)乗り越えたか」というものなのです。
なので、「こういうことになっちゃったぞ・・・」に対して「それには、こうしましょう!」とか「それではダメだよ!」のように一歩ずつ進んでいく感じなのです。読者も、このステップバイステップを味わえます。

ただ「決まりを押し付けている」ようにならないように「なぜ」や「アンチパターン」が示されることで、腑に落ちる感じが増します。アジャイルスクラムに初めて触れる、挑んでいくチームの成長を感じながら、その成長を実現した「仕組み」について種明かしを添えてくれる・・とでもいうような。

この辺りが、読み物としての楽しさを提供してくれるなーと感じます。それもまた、この本が他人に薦めやすい理由の1つ。

まとめ

「なんとなくスクラムがわかったぞ、そういうことなんだね」に最速に至るための一手を考えると、この本を通読してみるというのが解答の1つになるのではないか?と思います。もちろん、チームで輪読会などを催して「どう考えるか」「価値観やプラクティスの背後にある原則について深める」という使い方もしやすいと思います。
ある程度スクラムについての学習を進めた後には、ページをパラパラと捲りながら各章の見出しを読むだけでも重要なポイントを思い出せる&初心に戻れそうだな、という感じ。

これを手に取りながら、チームで一丸となってスクラムに挑戦してみる!!とかは面白い体験になりそうだな〜などと夢想してみたり