去る6月29日〜30日に行われた、南山大学 人間関係研究センターの提供する公開講座である「パーソンセンタード・アプローチ・ワークショップ<ベーシック>」を受講してきました。
「ニンカンセンター」の講座は、何だかんだで、初めて参加した2021年から4年間連続で受講となりました。
これまでに
の5講座(うちオンライン開講が2021-2022の4講座)を受け、今回が6回目です。
折角なので、体験できたことや感じたことをふりかえってみよかなと思い、記事作成画面を開きました。
このブログ、割とIT技術っぽい話しとかが多いので、いきなりこういう話題を扱うと「何だかスピっぽさがあるぞ??」「どういう話をしているんだ??」とか思われるかもですね。マワレミギーです。
何で受けるんだろう?
もともとは、社内でリーダー(テックリード)を任されるようになった時に「あわわ、人間の相手をしなきゃーー!!」となり、
そこでitoshoさんの記事や、そもそも同じ相手から「オススメだぞ」という話を耳にしていたことから人間関係講座に興味を持ち、
自分にとって何か足りないものが見つかると良いな、モノは試しで受けてみようと思ったのが2021。
また、同じような時期に「マネージャーを任されることになりそうな気配」を感じ始めて、パーソナルコーチングのトレーニングも受け始めたり・・・と、
他者とのコミュニケーションが自分にとっての悪材料になったり誰かを脅かすものになってしまわないよう、積極的に取り組み始めています。
実際、カウンセリングや臨床心理学の研究に端を発する領域ということで、どちらも親和性はものすごく高いです。
最初のきっかけはそんなところですが、 今現在は、マネージャー職でもなく、チームなり他人をまとめる職務を持っていない中で、「今年度も受けたいな」と思って受講を決めました。
いくつかの理由はありますが、
- 個人的にコーチングは続けていきたいなと考えている
- 自分にとっては、独特で他にあまり無いような学びとなっており、より深めていきたいという関心がある
- 人との接し方やコミュニケーションについて、ある種の「初心を思い出す」ような時間でもある
といった要素が大きいでしょうか。
講師の先生方、他の参加者の皆さんがいつも温かく優しい空気を作っており、穏やかな時間を過ごせていると感じます。
とはいっても、名古屋が地元の方のみならず関東や関西からの参加者も多く、有償でかつ休日の時間を費やして参加している人たちなので、学ぶ意欲は全体的に高い。
かつ、定型的なコンテンツを教授されると言うよりも「体験を通じ、自分や他者との関わりの中で何かしらを内省し学び取る」ことが主となる要素なので、
思考も精神力も相応に使います。MPが消費される。
そんな訳で、ゆったりとしているようでありながら、その実かなり精力的な時間を過ごしているなぁと毎度ながら感じるところです。
「分かっていたつもりのことが何も分かっていなかった」「全然出来なかった」と打ちひしがれたりもしますが、
そうした温かさや厳しさ、豊かさを求めて、毎年受講しているのかなぁなんて思ったりするのです。
この講座を受けた動機、ねらい
自分が最初に受講を考えた年度はオンライン講座への切り替えが実施されていたタイミングでしたが、
徐々に対面講座の比率も復活してきて、今年はいよいよ「オフラインがメイン」というラインナップになっていました。
自分も昨年度は大学での開設講座に参加したので(2日間*2ターン)、もし受けるなら名古屋行きたいな〜と思い。
しかしTグループは色々な意味でハードルが・・・という一方で、パーソン・センタード・アプローチやフォーカシングには興味を持っていたので、
じゃあということで講座を選びました。
でも正直「何かを受けてみたい」「PACの講座もあるんだ」「日程的に・・」と、あまり中身を見ないで決めているかも。
メチャクチャ適当じゃん・・・・と言えるかというと、参考テキストは個人的に興味を持って読んでいた本でもあるし、しっかり親和性はあるはずなのですよね。
また、「本で読んでも、コーチングのトレーニング中に少し触れたことはあっても、なかなか自身の体感として掴めていない、だからいつかやってみたい」と考えているフォーカシングの講座にも繋がるということで、今のうちに受けておきたいな〜と考えた面もあり。
とはいっても、講座の概要を見ても具体的なコンテンツレベルで「じゃあどういう事をするの?」という情報は拾いにくいようにも感じて、
- 「実現傾向」について
- 体験的に学ぶ
くらいかな?読み取れる事としては・・・とも。
まがりなりにも「体験学習ファシリテーション」の基礎レベルを昨年度に受講したことで、こうした案内を作る時に「どんな事を考えるか」「何を書く(書かない]べきか」を提供側から触れており、
結構こういう「何を学ぶかは受講者自身の内部に現れるもので、正解については予め提示できるものではない」というスタンス(が根っこにあるように見える)についても、自然と受け入れられた気もします。
行ってみれば分かるかも知れないし、行ってみないと分からないし、自ら学び取るしかないものだなぁと。
やったこと・内容について
「ワークショップ」とあるように、体験がメイン・ワークがほとんど。
少し予想外だったのは、これまでに受けてきた講座のどれよりも「小講義パート」が少なかった部分。というか、無かったなぁ。
普段だと、小講義→ワークの説明→ワークの実施→個人ふりかえり→ペア・グループふりかえり、分かち合い→全体分かち合い というサイクルで組まれることが多いので、今回もそういう流れだと予想していたのですが、
「座りながら先生の話を聞く」という講義がなかったどころか、レジュメもなかったくらいで。(ワークシートは都度配られましたが)
その分、個人や全体で「どんな体験をしていくか」の方向づけも少なく感じ、非常に自由な学びが展開されていたように思います。
また、個々人で自身の感覚に焦点を当てていくための時間もじっくりとられていたように感じました。
そのような解説があったわけでもないので個人の解釈ですが、自分自身の感じ方に対して感覚を開くような、フェルトセンスに焦点を当てていくための仕掛けが所々にあったようにも。
例えば、初日に簡単にチェックインを済ませた後には、
人間関係講座などの講座では「自己紹介・個々人の掲げる学習のねらいの共有」が用意されたりしますが、
瞑想のようなエクササイズを実施した上で「どんな感覚で今ここにいるかを絵に書いてみる」「トリオを組んで共有と対話」、になったり。
2日目の午前には「10分かけてしるこサンドを味わう」というワークを行ってから、ペアでの傾聴のワークになったり。
そんな感じで、全体の組み立てとしては
- 自分自身に向き合いつつ、場と繋がるようなワークやエクササイズ
- ペアないしトリオでのワーク、ふりかえりと分かち合い
- 全体での分かち合い
が主だった様に思います。
テキストに言及して「こういう話もあって」とか「ここで紹介されている」といった話もありましたが、
それも「予め用意されていたものを話す時間」があったというよりは、
体験としては、受講者からの共有や質問に反応して先生方からのフィードバック的に共有が起こる、という感じでしょうか
参加しての学び・感想など
まず思うのは「今回の体験した色々について、裏側でいったい何が起きていたのだろう?を自分で知りたい」というもので、
参考テキストである傾聴の心理学であったり、ロジャースの中核三原則・・とくに「一致」「無条件の積極的関心」については、復習したり学習したくなりました。
今回のワークのコンテンツとしては主に「傾聴の体験・理解」だったので、これはコーチングの文脈や人関センターの講座の中でもよくやっていた部分、ある意味「馴染のある」部類だったので、落ち着いて取り組めたのではないか?と思います。
とはいっても、じっくりと学習として取り組む時間を取ったのが久しぶり*1・同じ目的を持った同士との分かち合いが設けられたのも貴重で、今回また新しく思ったり気づいたりした要素も多くありました。
その中でも大きい収穫だったと感じたものとして、1つは自分が「傾聴」に対して抱く基本的なスタンスみたいなものが言語化?再認識?されたこと。
一文にまとめるなら「相手の心情の中にあるビジョンを共有し、その世界に触れる」というのが、今の自分なりに思う「傾聴」なる行為なのかなーと。
コレは話し手のロールとしてワークに取り組んでいる時に感じたのですが、
人って「こういう風に感じました」「こういう風に思っているんだな、と伝わってきました」なんて、誰かに自分の内なるものを共有できたんだな・・・と感じられる経験は、すごくパワーになるんだなぁと。
同じものを見ています・同じものを受け取りました、と示すだけで救われるんじゃないか・・・なんて思います。
別に良いことを言わなかったとしても、まるで「琴線に触れる」ような体験が生まれるもんだなぁと。
また、聴き手のロールとしても、そうした感動を与えられたなぁと感じられた場面があって、
(PCAの学習者というよりコーチっぽい帽子になっちゃって失敗かもだけど)それだけで相手の「モード」みたいなのが変わったなぁという体験がありました。
相手ありきのことなので、ここで内容は触れないけども。
あるいは、コーチングのコースに参加している時も、自分がコーチ役としてワークをしている時に、
こちらとしては純粋に「見えたものをそのまま口に出す(反映する)」というだけだったのに、
クライアント役の人が突然訳もなく涙を流すような、そんな体験をしたことがあり。
あの時の印象が凄く強く自分の中に残っている気がする。
もう1つの大きい収穫、
今回の講座の中で先生方がしきりに「味わう」「味わってみる」という表現をよく使っていたのですが。
「感情を味わう」「体験したことを味わう」「今ココを感じて、味わってみる」みたいなことですね。
この表現に対してぐっと解像度が上がったと感じる瞬間があり、
それまでは「深く体験しよう(それを心がけよう)」くらいの、「体験する」の類義語ないし修飾的な表現くらいにしか捉えていなかったのですが、
「味」と言っている以上、口の中に一度含むと、もうその本質が広がってくるのを恣意的に制御はできない・溢れてきちゃうもの・・・というニュアンスがあるのではないか、と思いました。ちょっと受動的なんですよね。起きていることに、素直に身を委ねる。
その上で、「口にしてみる」というのも「自分で味わう」というのも、積極的な行為なので、主体者がそこに意識を向けて取り組む必要があります。
多分、セッションの中では、クライエントの秘めているものや表現しているものが、コチラの中にも染み入ってきて体内に広がるような、そういう深さの共感をしていくことには大きな意味があるのではないか・・・?などと思ったり。
総じて
やはり、今回も良いものでした。
何度か受けている内に、顔を見知った(過去の講座で一緒に参加した)人と出会うことも多くなり、
今回も2,3人「お久しぶりですね!!」な人がいました。
老若男女幅広く参加している雰囲気はあり、支援職だったり経営者だったりコンサル的な人だったりと多様で。
でも皆さんこのようなテーマの機会に参加しているだけあって、穏やかだし、前向きに学ぼうとしているなーとも感じられ、参加の回数を重ねる旅に自分としてはゆったりと落ち着いた気持ちで臨めているように思います。
今回の内容としては「基礎の基礎*2」だった印象もあるので、
この講座の受講を前提として設置されている「アドバンス」なども参加してみたいなーと思いました。