#techramen24conf に参加しました / ワークショップを実施しました

先月末頃に北海道は旭川で開催された、上川地方に技術の知見を惜しみなく注ぐ,技術好きのための円卓会議に参加してきました。

うっかりぼけぼけしていたら半月以上の時間が経ってしまいましたが。
(まだ1ヵ月も経っていないのか!!に驚きもアリつつ)

観光・地方エンジョイ的な視点では、以前あっさり目に記事を書いています。写真はこってり目だけど。

daisuki.nichiyoubi.land

という訳で、この記事では、イベント本体についての「参加してどーだったか」を記録に残していきます。
「自分のやつ、やってみてどーだった!?」を中心に。

旭川駅かっこよかった

会場まで向かうのに渡った橋の名前が「クリスタル橋」でかっこよかった

www.atca.jp

イベントでは、「ワークショップ」の枠でCfPに応募し、採択していただいたのでヨッコラショと実施してきました。
「ワークショップの枠ってあまり見ないな、珍しいよね、おもしろそ〜」と思って応募した次第。
詳しい動機や想いなどは、開催前にこのブログで書いております。

daisuki.nichiyoubi.land

会場にはt-wadaさんも聞くてださっていて本当に恐縮と感謝でいっぱい・・。 こんな光栄なことってないですよね!
開始前も開始後もかなりバタバタしちゃっていたので(気持ち的にも)、ご挨拶にも伺えなかったのですが、、、懇親会で突撃すればよかった!!が今回のイベント全体での最たる後悔。

んー・・・・・

さて、ふりかえっていきます!!

内容など

資料はUPしてあります。

ざっくりいうと、

  1. 最初に「TDDってこういうものだよね」を実演的におさらいする
  2. 次に「TDDに、期待できる効用や関連する意見」を紹介して簡単な問題提起につなげる
  3. 参加者同士で、3〜4人程度の小グループをその場で作って議論を行う
  4. 議論した内容を各グループから全体に共有してもらう

という流れ。

折角「ワークショップを主催してみてください!!」というレア体験の機会をいただけたので、自分なりに考えたことをふりかえってみます。
ワークショップの実施にあたっては、「揃える」「耕す」「見届ける」ような役割を担えるようにしよう、と意識しながら内容を考えていきました。

見届ける

まず、大前提としてゴールが「見届ける」です。

創発的な場を作れたら、あとは参加者ないしグループの数だけ、その個性と経験からなる色々な知が集まってくる・・・というようなイメージです。

「そうではない」としたら、誰もが教科書的な事を述べたり確認するに留まる場になったり、或いは、こちら(私ですね)が用意してインプットを与えたものが反芻されて「ゴールする」ような、そんな体験でしょうか。それは避けたいな??

と思ったので、なるべくファシリテーターとしての意見を述べるのを控えています。
例えるなら「レールを敷かずに、なんとなくの案内図だけ示しておく」みたいな。
「この遊園地には、観覧車やコーヒーカップやレストランなんかもありますよ」とだけ伝えておくんで、あとはご自由に!!楽しみ方は君次第!!!ですね。

耕す

「耕す」というのが、狙いに基づいて組み込まれたもう1つの工夫で。

あまりにもオープンワールドで自由だけ与えられると戸惑ってしまうので、参加者の脳みそへの刺激となるような情報をインプットしています。
これは、まさに「この遊園地の代表的なアトラクション」を紹介するような感じですね。
どの乗り物に乗ってもらっても良いのですが、アテもなく「探索」から始めてもらうのは時間的にも議論の組み立て的にもハードルが高そうだったので。

典型的には、セクション3の「共有」の部分です。 https://speakerdeck.com/o0h/techramen24conf?slide=52

ここでも情報の出し方には気をつけました。
参加者にとって「なにか正解が用意されている」と感じられてしまうのを避けたいです。 「場の”支配人”」と成りかねない立場にある自分が「私の意見」として表明するのはリスクなので、すべて「紹介」程度にとどめています。

私自身の体験だったり、あるいは私の言葉で記述した考察や「届けたいメッセージ」を述べる〜をしていません。
セッション登壇などの「発表者」ロールなら、この辺りこそが強く意識してやり遂げたい要素になるはずです。
が、今回はその逆ですね。
ファシリテーター」のロールに自分を位置づけて臨んだので、「消す」意識で組み立てたいな、と思いました。
言ってみれば、ノイズだよな〜と。

この辺りは、モードというか頭の使い方が全然違うな〜面白いな〜〜〜なんて感じました。面白いですね!
(南山大学の「体験学習ファシリテーション」の講座に参加して得られた感覚に、強く影響されていると思います。正解を「前に立つ人」ではなく「参加者個人個人」の中に、いかにして見出してもらえるか・・・?が面白い)

その一方で、出している情報も意図を持って選んでいます。
今回のワークショップは、「定義・ルール」的な話題よりも「実践・効用」についての議論をしてもらいたかったので = 調べると定型的な回答に辿り着けるものより、「自分たちの言葉で伝え・受け取ることで、何かを見つけられる」ような体験を生めるようにしたい!と考えていました。
なので、ここでも「”おっ”と思わされそうなもの」「咀嚼や解釈が必要なもの」を、基本的には引用元を示しつつ「誰かがこんな事を言っていたよ」形式で示しています。

「t-wadaさんがこんな事を仰っています」とかそれt-wadaの前でも同じ事言えんの? → 言いました

もう1点の「例えば」でいうと、「各グループで話をする際のテーマ」に具体的な内容を与えるのは避けつつも、メタテーマは与えました。
これは「箱の中身」ではなく「この箱に入れてね」を示すような感覚でしょうか。

「『TDDで◯◯なりたい』という形式で、最後に全体で発表してください!」という形で提示しています。
ここのテーマどうする?方向性と言い回しと提示の仕方と・・・的なところは、(作業時間量的な観点ではなく)今回の準備で1番悩み抜いた部分でもあります。
個人的には、納得のいく設定を発見できたなーと感じています。

https://files.speakerdeck.com/presentations/0f98d21e56904ce891d355e3039ff11c/slide_65.jpg?31151487

いくつかの狙いをもってこのテーマにしました。 例えば、

  • TDD自体を目的にする(TDDを○○、ではなく)というよりも実践的な目線・自分だったらどう使う?という方向に目線を向けるように
  • 「難しさ」「挫折したこと・現場で折り合わなかったこと」ではなく「何かを叶えたい!!というポジティブな目的」から議論をスタートできるように

という場のカラーが設定されることを、期待しています。

また、ワンフレーズにまとまるようなテーマにすることで、

  • 時間が極めて限られている中でも行動(会話)・思考・判断の簡素で端的な”拠り所”を設ける。共有する
  • 発表時のプロトコルを揃えて、発表者・聞き手の負担を軽くする

といった、グループアクティビティの「ロジスティクス」の問題を緩和したい、とも考えての設定でした。
それに加えて、「密度の高い議論を折角出来たなら、ぜひ何かを持ち帰ってもらいたいし明日からの行動変容にも繋がりやすくしたいな」という欲深さもありまして。
「印象付ける」「思い出しやすく(思い起こされやすく)する」って点で、ワンフレーズで表現できる!のも強力なツールに成りそうだな〜なんて考えていました。

揃える

今回、「そもそもパブリックに参加者を集めるイベントでしかも初開催だし、シニアもジュニアも学生さんもきっといるぞ〜〜!」という参加者のレベル感や課題意識も読みにくい、幅広い層の参加が予期されており。*1
そもそも、初めまして同士で「何かの議論をする」って難しいことですからね。だからこそ、選抜試験にも用いられたりする訳で。

そうした議論の難しさを緩和するために意識したこと工夫したことがあり、それが「揃える」です。

セクション2の「教科書通り」について、ココで喋るのは半分儀式的な程度の意味合いもあるな〜とは思いつつも、「実際にやってみるとこんな感じ」は示しておくの大事そうだよな〜との考えで差し込みました。
過去に、「実際にやってみると驚いた」と他人からリアクションを受け取ったこともあり、それはプロポーザルとして提出したりもしています。

fortee.jp

そのくらい、人に依って「ざっくり知っているけど、そういう風になるのか」のギャップが生まれるものなんだな〜と感じており、なのでベースを示すことにしました。
TDD未経験者、あるいは「ちらっとやってみたけどいまいちハマらなかった」人たちも参加者にいそうだな!!!って前提で備えておきたかった部分。

あとは「議論するときのコツ」「進め方の例」を示したのも拘りポイントで。

https://files.speakerdeck.com/presentations/0f98d21e56904ce891d355e3039ff11c/slide_62.jpg?31151484

社内などでワークショップに慣れている人であれば「相手に敬意をもって接しましょう!」で済ませる部分かもですが、初対面同士かつ年齢・経験が違う中で相互作用しながら過ごしていくのに際して、ここは省略したくない部分で。
楽しんで実になるような刺激的な時間になって欲しい!!という自分の願いとは裏腹に、「辛い時間になった」「カンファレンス緊張するし怖いな、つまらないかも」ってなると本当に最悪なので、どうにか避けたく・・・

https://files.speakerdeck.com/presentations/0f98d21e56904ce891d355e3039ff11c/slide_63.jpg?31151485 やっぱり、勇気を持ってこのワークショップに参加できる人でも、「自分より堂々と喋っている経験も豊富そうな人」がいたら、発言に臆することもあるのではないか・・・という所からスタートしています。
それと同時に、ただ単に「誰にでも優しい受容力の高い場」でありたいという以上のねらいもあります。
ファシリテーションにおいて「素朴な問いかけ」がパワーを持つことを知識としても経験としても知っていますし、自分だったら意図的に使った部分。 (例えば安西さんの説明がわかりやすいです。 note.com

問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション

これは「何を聞くか」だけでなく「誰が問うか」「どんな風に問うか」によっても機能が変わりますが、少なくとも前項の「互いの意見交換を楽しむ」「遮らないで聞く(ちゃんと聞く)」という態度が伴っていれば、良質な問いに転嫁しやすい・・・はず。
同様に、初級者以外にも、話せる引き出しが多いであろう「経験者」や、グループ内のguruを担うであろう「ベテラン」にも、グループというシステムを成立させるための各々の機能を担って欲しいという期待、それがうまく噛み合うと初対面同士と思えないような豊かな時間になるぞ・・!という希望を抱いて、このページを用意したのでした。

https://files.speakerdeck.com/presentations/0f98d21e56904ce891d355e3039ff11c/slide_64.jpg?31151486"

ディスカッションの基本は「発散と収斂」ですが、そのためには「具体(経験)と抽象(概念)」を行き来したり、それを支えるように、先を見通したり次を予期すること・今は何を話すべきかを各自の意識の中に顕在化させ共有すること・・・というアジェンダセッティングが欠かせません。
これを一瞬で誰でも一定のレベルでできるように用意する!!というのは土台無理で。
ただ、「議論や結論の質を高めるには・・・・」から何歩か引いて、「この時間が良い体験になるように」に着目すると、いくつか避けたいポイントが見えてきます。

  • 沈黙が長く続く、気まずい時間が流れる
  • 今何を話しているのかついていけない、焦りに襲われたり「いま何の話をしているのか」が掴めず迷う
  • 時間いっぱいになって「結局なんの話をしたんだっけ」と混乱だけが残る

これらを避けるべく、

  • まず話しやすい所から口に・耳にしてもらう、最初から抽象的な話に入りすぎない。「きれい」に話そうとしない
  • ちゃんとオチをつける、要約をしてリフレインする

を仕掛けたいな、と思いました。
後者は「耕す」で触れたテーマ設定を仕掛けにしていますが、前者はこの「進め方の例」でカバーしようと仕掛けたものです。

事前に打ち合わせをして当日の進行をサポートして貰えるスタッフを用意して・・ならもっと綿密に「ファシリテーションガイド」を用意することもできるのですが、「限られた時間で説明して誰でもできるようにしてもらう」だと、やれることは限られるので。
せいぜい共有できるのは「序破急」くらいだろう、ということで3点の箇条書きになりました。
かつ、体験の良さを考えると「滑り出し」が1番の肝だよな〜と睨んだので、1点目を厚めにしていますね。

当日の実施について

ツール類がほしいな〜〜というのは考えていたのですが、「飛行機に持ち込む荷物を増やしたくない!!」「そもそも何が必要かはギリギリまで考えたいよな〜〜」という気持ちも湧いて、 調べたら「市街にジュンク堂/MARUZENあるじゃん!!!」とのことだったので、ルンルンで文具屋さんにいきました。
どういう道具使ってどんな組み立てにしようかな〜〜って思いながら買い物するの楽しかった。

色々と買ってきた人たち(一部は持ち込み)

全部は使わなかったですけどね。予備的に買って行ったものもあるし、会場と参加者の具合などを見ながら即興でコンテンツ組み替えたりもしてたので。
プロジェクトペーパー、ポストイット、マッキー、ソーホースケッチパッドを使いました。

実際の様子

当日は、3人がけのテーブルが部屋いっぱい埋まっている!!という感じで、大勢の方にご参加いただけてめちゃくちゃ嬉しかったです!
あとスタッフの方々がとても温かく見守ってくれたりご協力いただいて、何とかやり切ることが出来ました。ありがとうございます!!!!

旭川近辺からの参加の方、その他北海道内、本州や四国九州など様々なエリアからの参加者が入り乱れて、かつ「TDDや開発の経験」もちょうど1/3くらいですごかったです。こんなにキレイにバランスするんだ!!!という感動がありました。

↓は後から発見して笑いました。

始まってから気づいたんですけど、自分自身は議論に参加できないのか・・・!というのにムズムズしました。
いや、「余裕があったら歩き回りながら話を聞いたり、人数調整的に自分も参加したりできるかな??」なんて想像もしていたのですが、実際には余裕もまったくなかったし人数も非常に良い感じだったのですね。

あとから聞いた話、t-wadaさんと同じグループにいらした方が「自動化テストあまり使えていない」という1人だったらしく、「あ!インターネットで見るやつじゃん!!」ってなったり。
っていう冗談はさておき、そういう立場で参加してくれたのは本当に嬉しいし、偶然にも(?)伝道師みたいな人の隣に座って色々と教われるのは素晴らしい事だよな〜って気もしますし、同じグループで参加している人にとっても良い時間になるじゃん・・・・とかとか思ったり。
(どうやら、テスタビリティを高めるには?どう分解していくか?いまの困りごとに対してTDDでどんな効果を得られそうか?etc、意味のある網羅的な議論が展開されていたようです)

参加者の発表

紙に書いてもらったので!!!!貼ります!!!
(※ 当日も、「書いてもらったら自分の参加レポートブログにも載せますので〜」とお声がけしています)

ワークショップやってみて実際にどんな感じだったんだろうな?を、少しだけお裾分けできればと。

(余談: ワークショップに参加してくださった方から、懇親会にて「あのテーマで自分だったらなんて答えるか?」という振りをもらって、たしかにな〜どうだろうな〜って考えたりもしたんですけど、自分にとっても「楽になりたい」かなぁ〜と思いました。)

本当に「想像以上に盛り上がってもらえた」という感じです。なんか難しそうだし堅苦しい話題じゃんね??とか思ったりもしていたんですけど、それでも能動的に興味を持って足を運んでくれた参加者たちですしね、流石でした。
興味のある話を遠慮せずにワイワイ話せるのは、こうした技術コミュニティの良さだよな〜〜〜〜〜と改めて思ったり。
プロポーザルを投げた時の「こういう事ができたら面白そうじゃね??盛り上がるでしょーー!」を目の当たりにした気がしました。

時間が限られているのは分かっていたので、もっと工夫して密度を高める・議論に使える時間を少しでも伸ばす、が足りていないなぁ〜は自分の反省としてありつつ。
2回目やったらもっとうまくできそう!
・・ではあるものの、開催後や懇親会でポジティブな感想をいただいたりforteeのFBでも「良かった」「楽しかった」の声をもらったりと、素直にホッとしたり嬉しいなと思います。

「時間がもっとアレばなぁ」は凄い言われます、そうですよね!!!!!!!!

やってみての感想

すごい楽しかったありがとうございました!!!!!!

改めて、今回は「発表者でなくファシリテーター、参加者が主役で自分は黒子に近くなれるか勝負」だった訳ですが、コンテンツを準備している中で自分自身が改めて「TDDの良さ、威力」について気付くことが出来ました。
単純にすごい学びがアリましたね! このあたりなど。

そして、ワークショップ面白いですね。興味あるな〜また機会があったら何かやってみたい。

イベント自体の雰囲気がとても良かった、「実現したいものが体現されている」みたいな空気を感じられたので、自分なりの解釈となる「折角の #techramen24conf で、折角のワークショップをやれる機会なのであれば」も乗っけやすかったな!!という感覚があります。あくまで感覚でしか無いけれども。
異文化交流的な「初めまして的な遭遇」もありつつ、いやいや”異”文化なんてことはなくて偶々これまでエンカウントすることが無かった同士?仲間?みたいなもんじゃん!!って気もしつつ、他方でこうした出会いを生むのは”偶々”なんてことはなくて企画して実行までこぎつけた運営スタッフの方々の胆力が偉大だった・・・・みたいな、そんな事を感じています。

改めて、スタッフの方々・ご参加くださった方々、ありがとうございました!!

*1:その方がイベントとしても楽しそうだし、自分も乗っかりてぇ〜〜って気持ち