PHPカンファレンスで登壇しました #phpcon2022

先日行われたPHP Conference Japan2022に参加しました。
当日の参加した記録は↓で。 daisuki.nichiyoubi.land

この2日目、9/25に「エラーと向き合い、自信を持ってサービス開発に取り組み、前に進む」というタイトルで登壇しました。

fortee.jp

当日用いた発表資料に、少し手を加えて「配布版」としたものが↓です。

自分なりに「登壇する方」の視点でふりかえってみたいと思います。

プロポーザルの提出

今回提出していたプロポーザルがコチラ

CfP期間は、ある意味で自分にとっての「棚卸し」のような働きにもなっていて、「マネージャーになってコードを書く時間が減ったから」「仕事の内容にあまり自分の中での新規性がないから学びも少ない」なんて状態に溺れてないよな・・・と確認するための動機づけにもなっています。

コードリーディング系やライブラリの紹介のようなもの、リーダーシップやコミュニケーション、学習方法、監視やオブザーバビリティ、あとは最近友人とGoを学習しているのでそれを元にした題材などを用意しました。
(あと、書いている途中に締め切りを迎えて間に合わなかったのですが、「パーフェクトPHPで出てきたフレームワークを今風に書き換えてみたらどうなる?〜この10年で変わったPHPの書き味、風潮〜」的なのも出そうとしていました。思いつくのが遅かった・・!)
実装や設計などのコードに寄った話よりも、組織とか関係性みたいな話の比重が増して行っているな・・とは認めざるを得ないところですが、それはそれで「今の自分に話せること」なので仕方ないです。

その中で、「これなら長尺にも耐えられるかな」と判断した唯一のトピックが有り難くも採択された結果です。

ちなみに、今回のカンファレンスで1番最初に届いたものでもある模様

ロングセッションについて

昨年のAdvent Calendarの記事でも触れていた通り、「深いテーマ性を持った発表に取り組んでみたい」「少しずつでも40分や60分のロングセッションにも挑めるようにする」というのを今年の目標の1つにしていました。

oo00hh.notion.site

・・・「挑めるようにする」というのが設定したことであり、「実際に登壇する」とは考えていなかったのですが。出来たらラッキーかもね、くらい。

そういう意味では、めちゃくちゃ有り難く機会を頂いた一方で、それだけで「テーマ性を持って、深く探求していくこと」が達成された訳ではないので、引き続き精進していく必要がありますね。
とはいえ、めちゃくちゃ大きなマイルストーンになったことは確かだと思います。

今回のテーマについて

元を辿れば数年前から追い続けていたテーマであり、前々職や前職で述べたようなことを「ちゃんと言語化してパブリックにして再利用可能にしたい!!!」みたいな期待もありました。
暫く前に唐突に閲覧数が増えたコレでもアプリケーションエラーに触れてますし、「0次対応」について社内Wikiから外に持ち出して再編集した記事も2年前のものですし。

daisuki.nichiyoubi.land

カンファレンスに向けた動きとしても、前回のぺちこんPHPerKaigi 2022でもトライしてたのをブラッシュアップして挑んだのが今回。

そんな訳で、自分の中にいだき続けていたものであり、採択通知を受け取った時は少し震えるような思いすらしました。

過去に発表や公開をしたものの中で、とりわけ個人的な思い入れが大きいのが 入門監視を読んで考えた内容をまとめたものCakePHPの進化をたどりつつ、「モダンさ」の必要性を考えたものの2つで、今回はここに連なるようなものにしたいなと感じていました。それは達成できたと思っています。

発表内容について

最初のきっかけになっている部分

「こういう取り組み方があるよ」的な、発表内容で言うと§3や§4の一部にあたるような特にプラクティカルな部分については「前から持っていたもの」という事になります。

その上で、プロポーザルを投げる際に思っていたことの1つとしては「自分と同じような事を考え始めた人が、周りの人を説得したり動かしていくのに足るような、客観性や合理性を備えた、参照ないし再利用しやすいような資料にしたい」というものがありました。自分自身が、「持って帰って使える」ものが欲しいと感じていた領域の1つだからです。

そういう背景で、「理論」のパートを扱っていたり、特に前半部分においては書籍の引用が多めになっています。書籍を引用したり参考文献に大量に乗せているのは、「それっぽく見せることで納得感を上げたい」という助平心もゼロではありませんが、もし同じようなことに興味を持った人が「しっかりと学びたい」「考える武器を増やして行きたい」という際の案内になるように・・と願ってのことです。
「欠陥がコストになる」というような話を、しっかりと構造化して説明できるようになることは、他人と協働していこうとする際には価値のあることだと思うので。

アップデートされたのを感じている部分

恐らく、2年前や3年前よりは、自分の中でも経験が深まったり複数の現場を覗けたことで言語化の進んだ部分がありますし、関連知識の習得も進んで「言いたいこと」へのアプローチも強くなった面もある気がします。

もう1つ別の話としては、自分なりの「ver. 2022」的な部分ですが、チームやメンバーのマネジメントに携わるようになったことで、そういった見地からの要素が含まれる事になったなぁ〜というのを感じています。
「戦略性を持って目標を立てよう」な話とか、「巻き込み方を大事にしよう/簡単に他人が動くと思わないほうが良いよね」な話なんかは、モロに仕事でやっている事に影響されているなぁ・・・と。(後者については、 CAL-1での話を自分なりに言語化したものであり、コーチングのトレーニングを受けた事で学びを得た要素を混ぜ込んでいるものになっています)
あるいは、「しっかりと信頼できそうな理屈や考え方に立脚しよう」というのも、ここ1-2年で読書量を増やすように心がけて行動した結果とも言えるかもしれません。

そういう背景があって、最終的には4章+まとめという構成になりました。
発表や資料の中でそんな呼び方はしませんでしたが(鼻につきそうって感じがして・・・)、①vision ②theory/generality ③strategy ④tacticsという流れになっているはずで、ピラミッド状になるように話を展開しつつ風呂敷を広げることができたんじゃないかな〜と思っています。

自分なりに長く追い続けていたもので、かつ「今の自分だから話せること」もあるというのは、やっぱり自分の中での大きなテーマなんだなぁと

資料の作成や発表準備について

最初の時期は「何か役に立ちそうなものをとにかく雑多に突っ込む」をScrapbox上で行っており、アウトラインを考え始めるくらいのタイミングからmiroを使って骨組み・肉付けをするような流れで進めました。

で、めっちゃ思ったんですがmiro便利・・・!
以前のPHPer Kaigiでもmiroを使って一部の図の作成を行っていたのですが、今回は活用範囲が増えてきました。
一通りのスライドが出来た時点で「口頭で話なきゃいけないことを減らしたい」「発表の速度を上げたい」という課題が目に見えていたので、そうすると「なんかいい感じに図を入れたら、スライド3〜5枚分の説明を端折れるぞ」という効果を求め始めて、しかし作図は面倒くさくて時間がかかりすぎちゃわないかな・・・という悩みを解決してくれました。救世主。愛してる。ありがとうございました。

制作風景の一部

また、資料作成や発表準備の段階で、社内の登壇する人やそれ以外にも何名かに力を貸していただきました。 感想やフィードバックをもらうことで、自信を持ったりまとめ方を見出だせたりと、色々と前進できたと感じます。とても助かりました。

リアクション

毎度のことながら、発表したものを観てくれる人が居てリアクションをしてくれるというのは本当に偉大で尊いことだなと思います。
とりわけ、今回は「初めてのロングセッション」「熟成を重ねてきたと思えるトピック」という要素もあったものですから、その感動もより大きなものでした。

Twitter上で発表中/後に反応をくれたり、オフライン会場に来ていた同じ会社の人が発表直後に駆け寄ってきて「良かったですよ!!」と声をかけてくれたり、カンファレンスの後日に「うちのチームでも考えてみることにしたよ」と言ってもらえたりと、受け取ってくれている人の存在を確認できると「頑張ってみた甲斐があったな、良かったな」と嬉しく思います。

オススメしたい書籍

もし今回の発表で興味を持ってくれた方が居たら・・・・!

先にも述べたとおり「知見を深めたり広めたりする手助けになれるように」という動機でAppendixniha「参考書籍」をとにかく片っ端から載せたんですけども、その中でも、以下については未読でしたら強くオススメしたいです。必読レベル。
順番もこの通りかなと思います。

「良くない状態」を目の当たりにして、しっかりとそれを認識してどう立ち向かっていくか・・・?みたいな本。
ボリュームも抑えられてコンパクトにまとまっているので、読んで見やすいと思います。

発表中でも触れましたが、今回のペチコンの中でも別セッションで触れられていました。
「開発組織の生産性」「その測定、定義」といったトピックに興味がある人であれば、外すわけにはいかない1冊!という位置にあると思います。

ちなみに、この2冊が刺さるような人たちは、twadaさんの アジリティを支える品質特性 / Agility and Quality Characteristics Developers Summit 2021 Summer - Speaker Deckも刺さるはず。講演中の中でも引用元として紹介されています。

上記2冊とはちょっと毛色や時代が違うかもしれませんが、今の時代にも読むに値する1冊に間違いありません。
自分が感覚で「0次対応って効率いいよね」と考えていた部分は、この本を読むことで言語化・理屈付けが非常にはかどりました。

そんな訳で

聴いてくださった方、資料を読んでくださった方、リアクションをくださった方、本当にありがとうございました!!!!!!
疲れたし緊張もしたし、登壇直後は想像以上に体力がすり減ったりもしていましたが、楽しく終えることが出来ました!!!!